マンチェスター・シティを退団するダビド・シルバがラツィオに加入すると報じられる中、具体的な進展はここまで見られず、移籍の実現を疑問視する声も聞かれるようになった。シルバを取り巻く状況をここで整理する。
ダビド・シルバの状況
ダビド・シルバは10シーズン以上を過ごしたマンチェスター・シティを契約満了に伴い退団する。本来であれば2020年6月末に契約は終了するはずだったが、コロナ禍によってチャンピオンズリーグ(CL)が延期されたことで、契約も大会終了までに延長されていた。
CLが再開される前から各クラブがシルバに接触し、一部のメディアは8月8日に行われたレアル・マドリード戦後にシルバがローマを訪れ、ラツィオと契約を結ぶと報じていた。ところがそれは実現せず、CLが終わるまでは移籍の決定は保留されるとメディアは見方を改めた。
そして、8月16日、マンチェスター・シティのCL敗退が決定したことで、シルバがどのような決断を下すのか注目されている。
シルバの選択肢は?
クラブ・代表の両方で長年第一線で活躍し、多くの主要タイトルを手にしてきたシルバをフリーで獲得できるとあって、多くのクラブからオファーが殺到。一時はJリーグのヴィッセル神戸行きも噂されるなど、その関心は世界中に広がっていた。
現在シルバが検討しているとされるオファーは、ラツィオ、アル・サッド、バレンシアからの3件。
ラツィオは来季のCL出場権を切り札として交渉を進めている。年俸300万〜400万ユーロの3年契約に加え、ローマ中心地あるいは練習場付近の住居や自家用機の提供も含めたオファーを提示している。シルバの父親は「息子はセリエAのファンだった」と語り、イタリアの首都のクラブに加わればとても嬉しい、と移籍を後押しした。
カタールのアル・サッドは年俸1000万ユーロとラツィオの倍額以上のオファーを提示している。また、シルバとはスペイン代表でチームメイトだったサンティ・カソルラの獲得を既に決めている。
バレンシアにはCL出場権はなく、提示年俸も200万ユーロとラツィオの半額程度だが、シルバにとってバレンシアはプロデビューを果たした思い出深い古巣。フェラン・トーレスを含め複数のスター選手を流出させた同クラブに舞い戻り、キャリアの最後にその再建を助けるという美しいストーリーを選択する可能性は少なくない。
決断は今日中か
欧州サッカーの移籍事情に詳しいジャンルカ・ディマルツィオ氏は、シルバはラツィオへの返答を8月17日中に行うはずで、もしそれがなかったのであればラツィオ加入は非常に疑わしくなると伝えている。
CLでの戦いを続けるか、高待遇のオファーを取るか、はたまた古巣へ舞い戻るのか。今日がラツィオにとって、そしてシルバにとって決定的な日になる。