やや日刊ラツィオ

ラツィオのニュースをお届けするブログ。更新はきまぐれ

【コラム】トッティはローマより大きな存在たり得るのか

f:id:acidrum:20190618121221p:plain

久々の更新がラツィオの話題でなくローマの話題になってしまうことをご容赦いただきたい。

先日、トッティがローマから退団することを発表し、会見を行なった。その中で彼がローマの首脳陣を痛烈に批判したことで大きな話題を集めている。

トッティはパロッタ会長を中心とする首脳陣から職務上の権限を与えられず、押しのけられるような形でローマを去ることになったと暴露。当然これを耳にしたロマニスタは激怒し、クラブは急遽釈明の声明発表を強いられる事態となった。

一方で、筆者はトッティのこの発言とロマニスタの反応に強い違和感を覚えた。果たしてトッティの行動はローマにとって正しかったのだろうか。彼は自らを育てたクラブに大きな爪痕を残して去っていったが、残された者はどうなるのだろう。

立派な去り方をしたデ・ロッシとの違い

トッティの会見の数週間前には、同じくローマ一筋を貫いたデ・ロッシも退団会見を開いた。彼は、キャリアの中で最悪の悲劇である2013年のコッパ・イタリア決勝の敗戦を引き合いに出し、「あの悲劇の後も未だに風は吹いている」と語った。つまり、残されたローマの選手たちが自身の退団という悲劇を超え、チームとしてより強くなっていくことを求めたのだった。ラツィアーレの私にとっても立派な去り際に見えた。まさにローマのキャプテンらしい会見だった。

ところがトッティはどうだろう。彼は今後もローマでプレーする後輩たちに対して何かをあの会見で残せただろうか。彼の発言によって、ローマは今後厳しい批判にさらされるだろう。その中でプレーするローマの選手たちにとってこれがプラスに働くわけがない。

そして、自身の発言で大きな混乱を招いたにも関わらず、彼はクルヴァ・スッド(ローマのゴール裏)で試合を観戦したいと言い放った。そして、パロッタ会長が去ればクラブに戻ってくるとも言った。

彼は一体ローマをなんだと思っているのだろう。ローマは彼の私物ではなく、多くの人の汗と涙によって成り立つひとつの伝統あるチームだ。今の彼はあまりにそれを軽んじていないか。

かつての同僚はトッティよりもデ・ロッシを支持

かつてローマに在籍し、トッティと共にプレーしたユベントスのGKシュチェスニーはローマ時代の思い出を聞かれて以下のように振り返っている。

「ロマニスタは狂ったようにトッティを愛していた。そして、それは時にチームにとって健全ではなかった」

「自分にとって真のキャプテンは常にダニエレ・デ・ロッシだった。トッティの場合はまず彼が先にが存在し、そして次にクラブがあるようだった。それと違ってダニエレはまさにロッカールームの魂だった」

シュチェスニーが指摘したようなことは、昨シーズンも見られた。

ローマはコッパ・イタリアでフィオレンティーナに1-7で大敗。フィレンツェから帰ってきた選手たちにロマニスタたちは激しい暴言を浴びせた。

ところが、トッティが姿を現した瞬間、殺気立っていたファンは目の色を変え、彼にだけ拍手と声援を送ったのだった。この光景は他の選手やスタッフたちの目にどう映っただろう。

ラツィアーレにとってクラブより優先される個人はいない

トッティの会見と時をほぼ同じくして、ロティート会長はインタビューの中で「ラツィオには残りたいものだけが残る。このクラブに不可欠な選手はいない」とあらゆる選手に売却の可能性があることを示唆した。ローマとラツィオの哲学の違いを表す発言だ。

もちろんラツィアーレも自軍の選手の放出を望んでなどいない。ただし、クラブの利益より優先される個人などありえないのである。ファンにとって最も大切なのはSSラツィオというクラブであり、どの選手個人もそれを超えることはできない。

これはロマニスタにとっては理解できない感覚かもしれない。ただ、ローマの未来を思うのであれば考えてみてほしい。

フランチェスコ・トッティはASローマより大きな存在になってはいないか?