昨季、インザーギ監督率いるラツィオは、爆発的な攻撃力を武器に躍進を遂げた。
セリエAとヨーロッパリーグの両大会で得点王に輝いたインモービレを中心に、セリエA最多の89得点を挙げ、最終的に4位のインテルと同じ勝ち点で並んだ。
直接対決の結果を優先するセリエAのレギュレーションにより、チャンピオンズリーグ出場は叶わなかったものの、夢舞台へ紙一重のところまで迫った、実りあるシーズンだった。
一方で、チームは致命的な脆さも抱えている。エースであるインモービレの信頼できる控えがいないのだ。
決定的な「弱点」
昨季、インモービレが負傷離脱した際には、エクアドル人FW、カイセドが代役を務めた。しかし、カイセドはことごとく決定機を外し続け、ファンから厳しい批判を浴びる。
特にラツィアーレを失望させたのは、第37節のクロトーネ戦でのミスだろう。勝てばチャンピオンズリーグ出場を決められた試合で、1対1の決定機を外してしまった。
vsクロトーネ
— ラツィオタロー Lazio Japan (@lazio_jp) 2018年8月11日
フェリペ・カイセド
決定機を決められず…。 pic.twitter.com/SAC4XEmLHW
続く最終節のインテル戦では、万全でない状態のインモービレが起用されたことで、誰もがカイセドのイタリアでの挑戦は終わったと考えた。
ところがどうだろう。開幕1週間前を迎えても、彼はまだチームに残り続けている。それどころか、新しいFWの獲得も進んでいない。
決まらない新戦力
大本命だったクラブ・ブルッヘのFW、ウェズレイ・モラエスからは個人合意を引き出したものの、交渉が長引いてしまい結局本人が残留を希望。
他にも獲得候補に挙がっていたアーセナルのルーカス・ペレスはウェストハムへ移籍を決めてしまった。
現在は、セルティックのムサ・デンベレを狙っていると報じられているが、獲得へ動くのはカイセドが売却できた場合のみだとされている。
カイセドの買い手として筆頭候補に挙がっているのは、スペインのラーヨ・バジェカーノ。
他にはメキシコやトルコの方面から問い合わせが来ているが、ラツィオが要求する600万ユーロを払おうとするクラブは今のところないようだ。
ラツィオの選択肢は
インモービレと同じスタイルのFWを
カイセドの決定力不足は大きな問題だが、必ずしも彼だけに責任があるわけではない。
エースのインモービレはスペースに飛び込んでゴールを奪うタイプのFWであるのに対して、カイセドは味方にスペースを生み出しチャンスを創るタイプの選手だ。
vsフィテッセ
— ラツィオタロー Lazio Japan (@lazio_jp) 2018年8月11日
フェリペ・カイセド
囮の動きでインモービレにシュートコースを作る pic.twitter.com/lD7mYQ4vME
インモービレを中心に作られた戦術の中では、違うプレースタイルを持つカイセドは動きにくい。エース不在に備えるためには、そのエースと似たと動きができるFWの獲得が望まれる。
新星に期待?
もしラツィオがインモービレの新しい控えを見つけられなかった場合は、1月までは現戦力で戦うことになる。
そうなった場合、期待がかかるのがアレッサンドロ・ロッシだ。
プリマヴェーラ出身のロッシは、昨シーズンはラツィオ傘下のサレルニターナにレンタルされていたが、今季はここまでトップチームに残留している。
カイセドよりもインモービレに近いプレースタイルのロッシは、インザーギ監督の戦術でうまく機能し、プレシーズンマッチで複数の得点を記録した。彼の起用も「ウルトラC」としてプランのひとつに含まれる。
移籍市場が閉じるまで残り1週間。ラツィオは新顔を連れてこれるか、それとも新星の活躍に賭けるのか、注目が集まる。